息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

挿管困難の予測のメタアナリシス

Will This Patient Be Difficult to Intubate?: The Rational Clinical Examination Systematic Review.

JAMA. 2019 Feb 5;321(5):493-503. doi: 10.1001/jama.2018.21413. (Systematic review)

 

COVID-19で挿管が話題になることが多いので読んでみました

気管挿管が難しい患者と認識することで、気道管理に習熟した人の助けを呼んだり、気道管理の発展した道具を用意できるようになるかもしれない。

気管挿管が難しい患者のリスクファクターと身体所見を同定することが目的。

MEDLINEで1946年から2018年6月、EMBASEで1947年から2018年6月までのデータベースを検索し、参考文献や過去のレビューを追加で検索した。

研究手法の質の高い62の挿管困難の臨床的な所見の正確さを評価した研究をレビューした。

2人の研究者がそれぞれデータを抽出した。二変量のランダム効果モデルを用いて研究間を通じた陽性尤度比を計算し、二変量で収束しない場合は一変量のランダム効果モデルを使用した。

62の質の高い研究の中で、33559例中の10% (95% CI, 8.2%-12%)は挿管困難だった。upper lip bite testのClass 3は陽性尤度比14 (95% CI, 8.9-22)、特異度0.96 (95% CI, 0.93-0.97)で最も予測精度が高かった。舌骨オトガイ距離<3-5.5 cmは陽性尤度比6.4 (95% CI, 4.1-10)、特異度0.97 (95% CI, 0.94-0.98)だった。下顎後退症(下顎角から顎の先までが9cm以下か主観的に短い)は陽性尤度比6.0 (95% CI, 3.1-11)、特異度0.98 (95% CI, 0.90-1.0)だった。Wilsonスコアと臨床所見の組み合わせは陽性尤度比9.1 (95% CI, 5.1-16)、特異度0.95 (95% CI, 0.90-0.98)だった。広く用いられているMallampatiスコアの陽性尤度比は4.1 (95% CI, 3.0-5.6)、特異度0.87 (95% CI, 0.81-0.91)だった。

いくつかのシンプルな臨床所見は挿管困難の予測に有用であるものの、挿管困難を信頼して除外できる臨床所見はない。upper lip bite testは簡単に施行可能で、異常があった場合は通常リスクの患者の挿管困難の可能性が10%から60%に上昇する。

 

Media Tweets by Ibrahim Muhsen (@IN_Muhsen) | Twitter

MallampatiスコアよりUpper bite lip testの方が有用なようです

COVID-19のように咽頭を観察するのがリスクの場合は特に有用だと思われます