息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

IPFのCT分析:予後を決める視覚的な特徴の比較

Serial CT analysis in idiopathic pulmonary fibrosis: comparison of visual features that determine patient outcome.

2020 Apr 28. pii: thoraxjnl-2019-213865. doi: 10.1136/thoraxjnl-2019-213865. [Epub ahead of print]

 

抗線維化薬の治療を受けているIPFの患者や非IPFの線維化を伴う間質性肺疾患の患者はしばしば様々な範囲(5.0%-9.9%)の経年的なFVCの低下を示す。視覚的なCTの変化は、わずかなFVCの低下が測定誤差よりも純粋な臨床的な悪化を示すかどうか確かめるのに役に立つか検証した。

2つのIPFのコホート(nはそれぞれ103と108)で放射線科医のペアがそれぞれ、CTの組み合わせ(ベースラインとその後6から24ヶ月以内)に点をつけた。間質性肺疾患、蜂巣肺、網状影、GGOの程度、牽引性気管支拡張の重症度の変化を5段階で評価し、死亡率の予測を単変量と多変量のCox回帰分析を用いて解析した。両方のIPFの集団は統合して、CTの点の変化がわずかなFVCの低下する患者で死亡率を予測するか検討した。

単変量解析ではGGO以外のすべてのCTの点の変化が、どちらのコホートでも死亡を予測した。年齢、性別、抗線維化薬の有無、重症度(DLCO)で補正した多変量解析では牽引性気管支拡張の程度がFVC低下とは独立して死亡を予測した。牽引性気管支拡張の程度の評価はどちらの評価者間でも概ね一致した。FVCが緩徐に低下するすべての研究対象の患者で、牽引性気管支拡張の程度は独立して死亡を予測し、蜂巣肺の程度よりも増悪の予測が優れていた。

牽引性気管支拡張の程度の変化は疾患進行の目安であり、FVCが緩徐に低下する臨床上の重要性の解明につながるかもしれない。

 

牽引性気管支拡張は蜂巣肺より重要な所見のようです