息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

Stageで補正したNSCLCの予後と治療選択を地方と都会で比較

Rurality, Stage-Stratified Use of Treatment Modalities and Survival of Non-small Cell Lung Cancer.

2020 May 6. pii: S0012-3692(20)30868-0. doi: 10.1016/j.chest.2020.04.042. [Epub ahead of print]

 

米国、テネシー州からの論文

NSCLCの治療と予後の格差を調べることが目的

2011年から2017年までDelta Regional Authorityの管轄で、医療保険システムの44%にあたる地域の5つの施設でガイドラインに基づくNSCLCの治療を調べた。施設と患者の田舎の度合いをRural-Urban Commuting Area codeに基づき判定した。施設間と田舎の度合いの格差はカイ二乗検定、F検定、ロジスティク回帰分析を使用した。生存率はlogランク検定、Cox回帰分析を使用した。

6,259例のうち、47%は地方に在住、2/5施設は地方にあり20%の患者を治療した。地方の患者が地方の施設で治療する場合と、地方と都会の患者が都会の施設で治療する場合を比較、年齢とStageと健康保険で補正すると、オッズ比1.68[95%CI 1.44-1.96]、1.33 [1.11-1.61] で後者はStageに適した治療を受ける傾向にあった。地方と都会の患者が都会の施設で治療する場合は、地方の患者が地方の施設で治療する場合と比べて死亡率のHazard ratioが0.69 [0.64-0.75] 、0.61 [0.55-0.67]だった。Stageに適した治療を受けた中で、都会の施設の死亡率が低かった(HR 0.7 [0.63-0.79])。Stageでさらに層別化しても、進行期のStageで都会の施設の死亡率が低かった(HR 0.8 [0.71-0.91])。

田舎度合いに関連した治療と予後の格差は患者レベル、施設レベルで存在したが、施設レベルの方が大きかった。地方の患者が都会の施設で治療を受けても、都会の患者が都会の施設で受ける治療と同等の予後だった。NSCLCの田舎度合いに関連した治療と予後の格差の解消のため、さらに質の高いガイドラインに基づく治療へのアクセスを拡大することを含めた優先的な介入が必要である。