息づく内科医

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Osimertinibによる術後補助化学療法

Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with stage IB–IIIA EGFR mutation positive (EGFRm) NSCLC after complete tumor resection: ADAURA.

DOI: 10.1200/JCO.2020.38.18_suppl.LBA5 Journal of Clinical Oncology 38, no. 18_suppl

 

Osimertinibは第3世代の中枢神経移行性のあるEGFR-TKIで、EGFR遺伝子変異のある未治療のNSCLCに対してGefitinib/Erlotinibより優れた効果がある。NSCLCの約30%は早期 (I–IIIA)で、手術が第一選択になる。術後補助化学療法はStageⅡ-Ⅲ、StageⅠBの一部の患者で標準治療となっている。しかし、再発率が高く、他の治療法が必要である。

ADAURA (NCT02511106)はPhaseⅢの二重盲検ランダム化比較試験で、stage IB–IIIAのNSCLCに対して完全切除後に補助化学療法でプラセボと比較してOsimertinibの効果と安全性を調べた。独立データ管理委員会の推奨により、効果のため早期に盲検化を解除した。計画外の中間解析を報告する。

18歳以上(日本と台湾は20歳以上)、WHOのPSが0/1、NSCLCの非扁平上皮癌stage IB/II/IIIA、EGFR遺伝子変異あり(ex19del/L858R)、手術で完全切除後に回復した患者で術後補助化学療法を許可された場合を対象とした。患者はランダムに1:1でOsimertinib 80mg毎日経口投与かプラセボに割付、治療期間は3年までとした。Stage(IB/II/IIIA)、遺伝子変異の種類 (ex19del/L858R)、人種(アジア人/非アジア人)で層別化した。Primary endpointはstage II–IIIAの患者で評価者によるdisease-free survival (DFS) とした。Secondary endpointはoverall survival (OS) と安全性とした。データのカットオフは2020年1月17日とした。

全世界で682例がOsimertinib(n=339)、プラセボ(n=343)にランダム化された。ベースラインの臨床的特徴はバランスが取れていた(osimertinib/プラセボ);stage IB 31/31%, stage II/IIIA 69/69%, female 68/72%, ex19del 55/56%, L858R 45/44%。stage II–IIIAの患者で、DFSのHRは0.17 (95% CI 0.12, 0.23); p<0.0001 (156/470 events)だった。2年のDFSはOsimertinibで90%、プラセボで44%だった。全患者のDFSのHRは0.21 (0.16, 0.28); p<0.0001 (196/682 events)だった。2年のDFSはOsimertinibで89%、プラセボで53%だった。OSは未到達だった。安全性は既知のOsimertinibのプロファイルと一致していた。

stage IB/II/IIIAのEGFR遺伝子変異のあるNSCLCで完全切除後に術後補助化学療法が導入できる場合、Osimertinibは統計学的に臨床的に意味のあるDFSの改善を示した最初の研究である。術後補助化学療法のOsimertinibはこれらの患者で効果的な新しい治療戦略になる。

 

control armがプラセボですが、CDDP+VNRやCDDP+PEMと比較するとどのような結果になるかが気になります

使える薬は早期からという流れなのでしょうか