息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19のARDSと死亡のリスクファクター

 

Risk Factors Associated With Acute Respiratory Distress Syndrome

and Death in Patients With Coronavirus Disease 2019 Pneumonia in Wuhan, China

2020 Mar 13. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.0994. [Epub ahead of print]

COVID-19は中国、武漢で初めて報告された拡大している感染症で、世界中に広がっている。COVID-19の臨床的アウトカムのリスクファクターはまだ同定されていない。

ARDSや死亡したCOVID-19の臨床的特徴とアウトカムを同定するのが目的。

2019年12月25日から2020年1月26日までの間に中国、武漢の病院(Wuhan Jinyintan Hospital)に入院した201人の後ろ向きコホート研究。2020年2月13日までフォローされた。

201人中、年齢の中央値は51歳(4分位範囲、43-60歳)、128(63.7%)は男性

84人(41.8%)はARDSを発症、そのうち84人のうち44人(52.4%)は死亡した

ARDSを発症した人はしなかった人と比べて呼吸困難を多く発症し(59.5% vs 25.6%)、高血圧(27.4% vs 13.7%)や糖尿病(19.0% vs 5.1%)の合併症が多かった。

Cox回帰分析ではARDS発症とARDS発症による死亡のリスクファクターとして年齢(HR:3.26, CI 2.08-5.11、HR:6.17, CI:3.26-11.67)、好中球減少(HR:1.16, CI:1.09-1.19、HR:1.08, CI:1.01-1.17)、臓器障害(LDH上昇(HR:1.61, CI:1.44-1.79、HR:1.30, CI:1.11-1.51)、D-dimer上昇(HR:1.03, CI:1.01-1.04、HR:1.02, CI:1.01-1.04))が含まれた。

39度以上の高熱はARDS発症(HR:1.77, CI:1.11-2.89)と関連したが、死亡しにくかった(HR:0.41, CI:0.21-0.81)

ARDSを発症した患者の中ではメチルプレドニゾロンの治療が死亡リスクの軽減と関連した(HR:0.38, CI:0.20-0.72)

高齢はARDS発症や死亡と関連し、免疫の脆弱性によるものかもしれない

高熱はARDSの発症と関連したが、ARDSの予後とは良い方向に関連した

ARDSを発症した場合、メチルプレドニゾロンの治療は利益があるかもしれない