息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19に対するコルヒチンの効果と心臓と炎症性バイオマーカーの変化

Effect of Colchicine vs Standard Care on Cardiac and Inflammatory Biomarkers and Clinical Outcomes in Patients Hospitalized With Coronavirus Disease 2019: The GRECCO-19 Randomized Clinical Trial.

JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e2013136. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.13136. (Original study)

 

SARS-CoV-2による感染症は世界的なパンデミックになっている。低用量のコルヒチンは抗炎症性効果があり、副作用も許容範囲内である。

COVID-19で入院した患者に対するコルヒチンの心臓と炎症性バイオマーカーの変化と臨床効果を評価することが目的である。

前向きの非盲検化ランダム化比較試験(the Greek Study in the Effects of Colchicine in COVID-19 Complications Prevention)で、2020年4月3日から4月27日までCOVID-19で入院した105例を1:1で標準治療か標準治療+コルヒチンに割り付けた。研究はギリシャの16の三次病院で行われた。

コルヒチン(ローディング1.5mg、60分後に0.5mg、維持療法として0.5mgを1日2回)は3週間以内の投与とした。

Primary end pointsは(1)高感度トロポニンの最大値、(2)CRPが上限の3倍になるまでの時間、(3)日常生活可能から死亡までの7段階評価での2点の悪化までの時間とした。Secondary end pointsは(1)人工呼吸器管理が必要な患者の割合、(2)全死亡、(3)有害事象の数、種類、重症度、重大度とした。Primary end pointsはITT解析した。

105例(61 [58.1%]が男性、64 [54-76]歳)が評価され、50 (47.6%)例がコントロール、55 (52.4%)例がコルヒチンにランダム化された。高感度トロポニンのピークの中央値はコントロールで0.0112 (0.0043-0.0093) ng/mL、コルヒチンで0.008 (0.004-0.0135) ng/mL(P = .34)だった。CRPの最大値の中央値はそれぞれ4.5 (1.4-8.9) mg/dLと3.1 (0.8-9.8) mg/dL (P = .73)だった。臨床的なprimary end pointはコントロールで14.0%(7/50)、コルヒチンで1.8%(1/55)(オッズ比 0.11; 95% CI, 0.01-0.96; P = .02)だった。イベントなしの生存期間はコントロールで18.6±0.83日、コルヒチンで20.7±0.31日(log rank P = .03)だった。有害事象はコルヒチンで下痢(25[45.5%] vs 9[18.0%]; P = .003)が多かったが、他は同程度だった。

ランダム化比較試験でコルヒチンは臨床的な悪化までの期間を統計学的に有意に延長した。高感度トロポニンやCRPに有意差はなかった。これらの所見は解釈に注意を要する。