息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19に対するRemdesivir

Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Preliminary Report
N Engl J Med. 2020 May 22. doi: 10.1056/NEJMoa2007764.

 

COVID-19に対していくつかの治療薬が検討されていたが、有効性を示したものはない。

下気道感染症の入院したCOVID-19に対してRemdesivirの静脈投与による二重盲検ランダム化プラセボ比較試験を施行した。患者はRemdesivir(初日は200mg、その後9日まで100mg)かプラセボ10日間にランダムに割り付けられた。退院か感染管理だけのための入院で定義される回復までの期間をprimary endpointとした。

1063例がランダム化された。Remdesivir群で回復までの期間を短縮することが示されたため、データ安全管理委員会は早期の盲検化の解除を推奨した。1059例(538例がRemdesivir、521例がプラセボ)の前段階のデータではRemdesivirを投与された群は回復までの平均期間が11日(95%CI 9-12)で、プラセボ群では15日(95%CI 13-19)だった(回復する割合1.32, 95%CI 1.12-1.55; P<0.001)。14日までのKaplan-MeierではRemdesivir群で死亡率が7.1%に対してプラセボ群では11.9%(HR 0.70; 95% CI, 0.47-1.04)だった。ランダム化された中で、Remdesivir群の114/541例(21.1%)で、プラセボ群の141/522例(27.0%)で有害事象が報告された。

Remdesivirは下気道感染症のある成人のCOVID-19で回復までの期間を短縮した。

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FDAがRemdesivirを承認した根拠となる論文です

中国のLancetの論文は想定外にアウトブレイクが早期に収束したため、統計学的なパワー不足で有意差が出なかった可能性があります

アウトブレイクの最中に実施した研究の中ではとても質の高いもので、どのような集団で効果が高いかなど続報に期待です