息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

NSCLCの免疫療法の治療バイオマーカーとしての循環miRNA、細胞外miRNA含有小胞

Circulating miRNAs and extracellular vesicle containing miRNAs as response biomarkers of anti PD-1/PD-L1 therapy in non-small-cell lung cancer.

J Thorac Oncol. 2020 Jun 18. pii: S1556-0864(20)30467-6. doi: 10.1016/j.jtho.2020.05.022. [Epub ahead of print]

 

PD-1/PD-L1抗体による治療は進行期のNSCLCの標準治療となっており、PD-L1の免疫組織染色は治療効果の予測のバイオマーカーとなっている。しかし、すべてのPD-L1の高発現のNSCLCの患者が奏功する訳ではなく、PD-L1低発現でもそれなりの効果を示すこともあり、より正確な予測のためのバイオマーカーが必要とされている。循環miRNAと細胞外miRNAを含む小胞(EV)は免疫細胞の細胞内伝達や腫瘍細胞と免疫細胞の伝達で重要な役割をすると考えられ、メカニズムに関連したバイオマーカーになるかもしれない。

PD-1/PD-L1抗体単剤で治療した進行期NSCLCの治療前の血漿をこの研究では用いた。血漿のEVはサイズによるクロマトグラフィーで抽出した。すべての血漿RNAを含むEVが抽出された。次世代シークエンサーを用いてmiRNAのプロファイルを解析した。

14例のレスポンダー(PRまたはPDで6ヶ月以上)、15例の非レスポンダー(RECISTでPD)の検体を解析した。合計で全血漿の32のmiRNA(p=0.0030 - 0.0495)と、7のEV関連のmiRNA(p=0.041 - 0.0457) はレスポンダーと非レスポンダーで濃度に有意差を認めた。これらの循環miRNAのいくつかは8例のレスポンダーと13例の非レスポンダーによる別のコホートで検証された。両方のコホートに参加した患者の腫瘍のPD-L1も免疫組織染色を用いて調べた。

特定の全血漿のmiRNAと血漿EVのmiRNAはレスポンダーと非レスポンダーで異なる発現を示し、PD-1/PD-L1抗体による治療効果の予測のバイオマーカーになる可能性がある。