息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

NSCLCに対するアテゾリズマブとプラチナ併用療法による術前化学療法

Neoadjuvant atezolizumab and chemotherapy in patients with resectable non-small-cell lung cancer: an open-label, multicentre, single-arm, phase 2 trial

Lancet Oncology 2020 May 7

 

非小細胞肺癌の約25%は切除可能なstage IB-IIIAで、手術前後の化学療法は標準的な治療として行われるが、治療戦略としては少しの生存に寄与することしか示されていない。免疫チェックポイント阻害薬によるNSCLCの活性に基づき、切除前の術後補助化学療法としてPD-L1阻害薬のアテゾリズマブとカルボプラチン、ナブパクリタキセルの有効性の研究を行った。

Open-labelの他施設、single-armのPhase 2試験は米国の3つの病院で行われた。18歳以上でAJCCの定義でstage IB-IIIAの、ECOG performance status 0-1で喫煙歴のあるNSCLCを対象とした。アテゾリズマブ(1200mg)をday1、ナブパクリタキセル(100mg/m2)をday1.8.15、カルボプラチン(AUC 5)をday1に、21日サイクルとして術前化学療法として頸静脈投与された。2コース施行後に進行がなければ追加でさらに2コース投与可能とし、その後に手術した。Primary endpointは手術時に10%以下のviableな腫瘍の残存で定義される病理学的な奏功とした。すべてITT解析された。

2016年5月26日から2019年3月1日まで39例が対象となり、30例が登録された。23 (77%)例はstage IIIAだった。29 (97%)例は手術を施行し、26 (87%)例はR0の切除を行った。データカットオフの時点(2019年8月7日)でフォローアップの中央値は12·9ヶ月 (IQR 6·2-22·9)だった。30例のうち、17 (57%; 95% CI 37-75)例が病理学的な奏功を達成した。Grade3-4の最も多い有害事象は好中球減少(15/30 [50%])、AST上昇(2/30 [7%])、血小板減少(2/30 [7%])だった。重大な有害事象はGrade3の発熱性好中球減少症(1/30 [3%])、Grade4の高血糖(1/30 [3%])、Grade2の気管支肺出血(1/30 [3%])だった。治療関連死はなかった。

アテゾリズマブ、ナブパクリタキセル、カルボプラチンは病理学的に高い奏効率があり、治療関連の有害事象を管理可能で、手術切除に影響せず、潜在的なNSCLCの術前化学療法のレジメンになるかもしれない。