息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

アフリカ系アメリカ人のCOVID-19の剖検のケースシリーズ

Pulmonary and cardiac pathology in African American patients with COVID-19: an autopsy series from New Orleans

Lancet Respir Med. 2020 May 27
doi: 10.1016/S2213-2600(20)30243-5 [Epub ahead of print]

 

SARS-CoV-2は全米に急速に拡大し、特にアフリカ系アメリカ人で高い合併症と致死率となっている。剖検は疾患の進行過程の理解の一助となり、COVID-19の患者の管理で重要な情報が得られるかもしれない。COVID-19で亡くなったアフリカ系アメリカ人の10例の剖検のケースシリーズで、知る限り初めての心肺の所見に関して報告する。

ニューオリンズでCOVID-19と診断され、主な死因がCOVID-19のアフリカ系アメリカ人の44-78歳の剖検例である。遺族の同意のもと、剖検は行われた。心肺の所見を調べ、特徴的な炎症に関連した免疫組織染色と代表的な部位のRNAラベルと電子顕微鏡の解析を行った。

重要な所見としては、肺の小血管や毛細血管の血栓と微小血管障害があり、出血を伴い、死因に大きく関連した。人工呼吸器管理をされていない患者でさえ、硝子膜形成を含むびまん性肺胞障害の所見があった。心臓の所見としてはリンパ球による心筋炎を伴わない細胞壊死があった。他の微生物による二次的な感染の所見はなかった。

この集団でのCOVID-19の死因にるながる、肺の血栓と微小血管障害を含む病理学的に重要な所見を同定した。これらの集団の管理ではこれらの病理学的機序をターゲットとした治療を含めるべきである。

 

肺の小血管に巨核球が出現しており、血小板による血栓形成が推測されるとのことでした