息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19に対するヒドロキシクロロキンのopen label RCT

Hydroxychloroquine in patients with mainly mild to moderate coronavirus disease 2019: open label, randomised controlled trial.

BMJ. 2020 May 14;369:m1849. doi: 10.1136/bmj.m1849.

 

成人のCOVID-19に対するヒドロキシクロロキンを通常の治療と比較して有効性と安全性を評価することが目的である。

他施設、open label RCT

2020年2月11日から19日まで、中国でCOVID-19に対する治療を行った16の省の施設

検査で確認されたCOVID-19の患者150例をITT解析した(75例はヒドロキシクロロキン+通常治療、75例は通常治療のみ)

ヒドロキシクロロキンはローディングとして3日間は1200mg投与、その後は維持療法として800mg/日を投与した(合計の治療期間は軽症から中等症では2週間、重症では3週間とした)

28日までのSARS-CoV-2の陰性化をメインのアウトカムとし、ITT解析した。有害事象は少なくとも1回以上のヒドロキシクロロキンを投与された群と一度も投与されなかった群で比較した。

150例中、148例は軽症から中等症で、2例は重症だった。症状の出現からランダム化までの平均は16.6日(SD 10.5; 3-41)だった。109 (73%) 例(通常治療群56、ヒドロキシクロロキン群53)は28日目までにSARS-CoV-2が陰性化した。残りの41 (27%) 例(通常治療19、ヒドロキシクロロキン群22)は陰性化しなかったため打ち切りになった。ヒドロキシクロロキン群のSARS-CoV-2の陰性化は85.4%(95%CI 73.8-93.8)で、通常治療群は81.3%(95%CI 71.2-89.6)で同等だった。2群の差は4.1%(95%CI -10.3-18.5)だった。有害事象は通常治療群で7/80 (9%)、ヒドロキシクロロキン群で21/70 (30%)で記録された。最も多い有害事象は下痢で、7/70 (10%)例で記録された。ヒドロキシクロロキン群の2例は重大な有害事象が報告された。

ヒドロキシクロロキンを通常治療に追加してもSARS-CoV-2の陰性化を改善しなかった。ヒドロキシクロロキンを投与すると有害事象が多かった。

 

ヒドロキシクロロキンは期待薄のようです