息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

NSCLCでのPD-L1の不均一性とICIの治療効果

Programmed Death Ligand 1 Heterogeneity and its Impact on Benefit from Immune Checkpoint Inhibitors in Non-Small-Cell Lung Cancer.

J Thorac Oncol. 2020 May 7. pii: S1556-0864(20)30373-7. doi: 10.1016/j.jtho.2020.04.026. [Epub ahead of print]

 

PD-L1の発現は病変の部位や疾患の進行過程によって様々である。NSCLCでPD-L1の不均一性とICIでの治療効果の影響を調べた。

1398例のNSCLCのPD-L1の発現を調べた。398例の転移のあるNSCLCで、ICIによる治療効果予測について解析した。

PD-L1は病変部位にと有意に関係した(p=0.004)。副腎、肝臓、リンパ節転移は連続値でも1%や50%のカットオフを用いても最もPD-L1の発現が高かった。脳転移や骨転移ではPD-L1の発現は低かった。2回の生検を112例で行ったところ、55 例(49%)は異なるPD-L1のカテゴリー(50%以上、1-49%、1%未満)に変化した。以前のICIの治療した場合、ICIの未治療と比較してPD-L1の発現は有意に低かった(P = 0.015)。ICIで治療したNSCLCの患者(n = 398) のコホートを生検の部位によって3つに分類(肺 (n = 252)、リンパ節(n = 85)、遠隔転移(n = 61))した。肺や遠隔転移でPD-L1の高発現の場合は有意に奏効率、PFS、OSが高かった。しかし、リンパ節転移のPD-L1は奏効率や生存と関係しなかった。

PD-L1の発現は実質的に解剖学的な部位や治療経過により異なる。PD-L1の発現は生検部位によって、NSCLCのICIの治療効果の予測が異なるかもしれない。

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生検部位毎のPD-L1発現:肝転移や副腎転移で高い、骨転移や脳転移は低い

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生検部位毎のPD-L1発現とORR、PFS、OS

PD-L1のheterogeneityを調べた非常に興味深い内容です

PD-L1発現が高い遠隔転移の検体では原発巣の生検検体より良い指標になりそうなのは面白い結果です