息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

バンコマイシンの持続投与と間欠投与での腎障害の比較

Continuous Versus Intermittent Infusion of Vancomycin and the Risk of Acute Kidney Injury in Critically Ill Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Crit Care Med. 2020 Apr 20. doi: 10.1097/CCM.0000000000004326.

 

超重症患者はルーチンに経験的な治療としてバンコマイシンを投与されている。持続投与はピークの血中濃度を最小限にして、変動を減らすことで安全性を最適化することで優れているのではないかと言われている。システマティックレビューとメタアナリシスを行い、バンコマイシンの投与法による超重症の急性腎障害への影響を調べた。

MEDLINE, CINAHL, Web of Science, International Pharmaceutical Abstracts, Google Scholarで系統的にレビューした。

超重症患者に対してバンコマイシンを間欠投与と持続投与して急性腎障害を比較したランダム化比較試験と観察研究を含めた。Secondary outcomeは死亡率と薬理学的な血中濃度の到達とした。

8つの研究を組入れ、背景の患者の特徴、エンドポイント、プロトコルの定義、アウトカムを抽出した。

間欠投与と比較して、持続投与は超重症患者で急性腎障害を減らした(オッズ比0.47; 95% CI, 0.34-0.65)。薬理学的な血中濃度の到達も多かった(オッズ比2.63; 95% CI, 1.52-4.57)。死亡率に差はなかった(オッズ比1.04; 95% CI, 0.80-1.35)。

持続投与は間欠投与と比較して、オッズ比で53%の急性腎障害を減らし、2.6倍の血中濃度の到達が可能であり、死亡率は変わらなかった。

 

持続投与ではシリンジポンプで投与することになるのでしょうか。PK/PDとしては理にかなっていると思います。