息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

重症COVID-19に対するConvalescent Plasma(回復期患者からの血清療法)で治療した5例

Treatment of 5 Critically Ill Patients With COVID-19 With Convalescent Plasma.

2020 Mar 27. doi: 10.1001/jama.2020.4783. [Epub ahead of print]

 

COVID-19はパンデミックであり、特異的な治療はなく、死亡率は不明である。新しい治療法を見つけることは重要である。

Convalescent Plasmaは重症のSARS-CoV-2による呼吸不全に対して有益であるか同定することが目的

検査で確認された重症なCOVID-19の5例のケースシリーズで、以下のARDSの基準を満たす症例である。急激な進行をした重症の肺炎で、抗ウイルス治療にも関わらずウイルス量が高値で持続し、P/F比が300以下で人工呼吸器管理をしている。5例とも、Convalescent Plasmaで治療された。中国、深セン市のShenzhen Third People's Hospital、感染症科で2020年1月20日から2020年3月25日まで行われ、データの集積は3月25日まで行った。臨床的なアウトカムはConvalescent Plasmaの投与前後で比較した。

患者はCOVID-19から回復した5人の患者から得られたSARS-CoV-2に対する特異的なIgGが1:1000 titer以上で中和抗体価が40以上のConvalescent Plasmaを点滴された。Convalescent Plasmaは入院後10日目と22日目に投与された。

アウトカムとして体温の変化、SOFAスコア、P/F比、ウイルス量、血清抗体価、ルーチンの生化学検査、ARDS、人工呼吸器とECMOのサポートを設定した。

5例(36-65歳、2人は女性)とも、治療開始時は人工呼吸器管理で抗ウイルス治療とメチルプレドニゾロンを投与されていた。Convalescent Plasmaの投与で5例中4例で3日以内に正常化し、SOFAスコアが減少し、P/F比が12日以内に上昇した(前172-276 → 後284-366)。ウイルス量は減少し、12日後には陰性化した。SARS-CoV-2特異的なELISAと中和抗体価は上昇し(前40-60 → 7日目80-320)、4例の患者では12日目にはARDSが改善した。3人の患者は2週間の治療で人工呼吸器から離脱した。5例中3例は退院し(入院期間は50日程度)、2例は37日後も安定している。

予備的な比較対象のない重症COVID-19に対するケースシリーズでは、中和抗体を含むConvalescent Plasmaの投与により臨床症状の改善を認めた。症例数が限られており、研究デザインからもこの治療の効果ははっきりしないが、有効性に関してはさらなる臨床研究が必要である。

 

Convalescent Plasmaはやはり有効な可能性があります

いかに集めて保管するかが課題になりそうです