息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

重症敗血症、敗血症性ショックに対する、ヒドロコルチゾンとビタミンCとチアミンの治療

Combined treatment with hydrocortisone, vitamin C, and thiamine for sepsis and septic shock (HYVCTTSSS): A randomized controlled clinical trial.

2020 Mar 31. pii: S0012-3692(20)30552-3. doi: 10.1016/j.chest.2020.02.065. [Epub ahead of print]

 

ビタミンCの敗血症性ショックの治療のRCT、HYVCTTSSS研究

ヒドロコルチゾンとビタミンCとチアミンの治療は敗血症の予後を改善するかどうかは諸説ある

ヒドロコルチゾンとビタミンCとチアミンの治療の有効性と安全性を評価するのが目的

single blindのRCTで、敗血症の患者にヒドロコルチゾン(50mgを6時間毎に7日間)とビタミンC(1.5gを6時間毎に4日間)とチアミン(200mgを12時間毎に4日間)の治療とプラセボ(生理食塩水)を比較した。ITT解析が行われた。Primary outcomeは28日間のすべての原因の死亡率で、secondary outcomeは臓器保護、プロカルシトニンの減少、治療に伴う有害事象とした。

80例がランダム化され、40例は治療群、40例はプラセボ群に割り付けられた。28日後の全死亡率は変わらなかった(27.5% vs. 35%; P = 0.47)が、72時間でのSOFAスコアは有意に改善した(P = 0.02)。有害事象の解析では治療群で高ナトリウム血症が多かった (P = 0.005)。事前に設定したサブグループ解析では48時間以内に敗血症と診断された患者では治療群で有意に予後を改善した(p = 0.02)。この研究は中間解析で中止となった。

この研究ではヒドロコルチゾンとビタミンCとチアミンの治療は敗血症性ショックや重症敗血症の予後を改善しなかった。

 

2020年1月に発表されたVITAMINS研究と同じ結果であり、ビタミンCは敗血症に対する効果としては乏しいのかもしれません