息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19のトシリズマブの効果

Tocilizumab treatment in COVID-19: A single center experience.

2020 Apr 6. doi: 10.1002/jmv.25801. [Epub ahead of print]

 

アクテムラ®を使用した中国、武漢からの報告

 

トシリズマブはIL-6に対するモノクローナル抗体で、最近サイトカインストームのリスクがあるCOVID-19の治療の選択肢として検討されている。この研究ではCOVID-19の患者でのトシリズマブの効果を評価することが目的である。

COVID-19患者の層、治療、トシリズマブ投与前後でのCRPとIL-6の値、臨床効果を後方視的に解析した。

15例が含まれ、2例は中等症、6例は重症、7例は超重症だった。8例はメチルプレドニゾロンも投与された。5例ではトシリズマブを2回以上投与された。トシリズマブはすべての症例で上昇したCRP値を速やかに改善したが、超重症な患者4例のうち3例は死亡し、残り1例はCRPが正常化せずに臨床状態が増悪した。10例ではIL-6は一旦スパイク状に上昇した後、トシリズマブの投与で低下した。治療に失敗した4例ではIL-6が持続的かつ劇的に上昇した。

トシリズマブはサイトカインストームのリスクがある患者では有効な可能性がある。超重症でIL-6が上昇した場合はトシリズマブの再投与が推奨される。

 

画像で肺炎があれば中等症、P/F比が300以下かSpO2<93%で重症、人工呼吸器管理やショックは超重症とのことです

メチルプレドニゾロンは40-80mg/日程度が使用されていました

ウイルス自体が重症化の原因か、ウイルス感染にともなう自己免疫の暴走で重症化するのかわかりませんが、ヒドロキシクロロキンなどとともに自己免疫の制御もhotな話題です

OutcomeがCRPやIL-6などの測定値のため、抜管などの臨床的な効果をターゲットにした研究が期待されます