息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

コロナウイルスに対するステロイドの効果のメタアナリシス

The effect of corticosteroid treatment on patients with coronavirus infection: a systematic review and meta-analysis.

J Infect. 2020 Apr 10. pii: S0163-4453(20)30191-2. doi: 10.1016/j.jinf.2020.03.062.

 

2019年の新型コロナウイルスは人々の健康の脅威となり、証明された薬学的な治療方法はない。ステロイドSARSやMERSのアウトブレイクで使われたが、効果は大いに議論になっている。コロナウイルス感染症の患者に対するステロイドの影響を評価することが目的である。

2002年1月1日から2020年3月15日までPubMed, Embase, Cochrane library, China national knowledge infrastructureで記述的検索を行った。この研究ではすべての統計はstata14.0を使用した。

15の研究から5270例が含まれた。超重症の患者はステロイドの治療を受けやすい(RR=1.56, 95%CI=1.28-1.90, P<0.001)ことが示された。ステロイド治療は死亡率が高くなり(RR=2.11, 95%CI=1.13-3.94, P=0.019)、入院期間が延長し (weighted mean difference [WMD]=6.31, 95%CI=5.26-7.37, P<0.001)、細菌感染の可能性が高くなり (RR=2.08, 95%CI=1.54-2.81, P<0.001)、低カリウム血症の頻度が上昇した(RR=2.21, 95%CI=1.07-4.55, P=0.032)が、高血糖 (RR=1.37, 95%CI=0.68-2.76, P=0.376)や低カルシウム血症 (RR=1.35, 95%CI=0.77-2.37, P=0.302)は増えなかった。

コロナウイルス感染症の重症者はステロイド治療を受けやすいが、死亡率の上昇と関連した。

 

COVID-19に対してステロイドの治療の報告は様々です

この研究ではSARS-CoV-2は2つ、SARS-CoVは11、MERSは2つが対象で症例数からはほとんどがSARS-CoVの報告が占めています

SARSの影響で死亡率上昇との結果につながっているため、COVID-19でも同様の結果になるかは不明です

今後のCOVID-19のステロイドのRCTの結果が期待されます