息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

発熱性好中球減少症でD-indexによる抗真菌薬の投与

D-Index-Guided Early Antifungal Therapy Versus Empiric Antifungal Therapy for Persistent Febrile Neutropenia: A Randomized Controlled Noninferiority Trial

2020 Mar 10;38(8):815-822. doi: 10.1200/JCO.19.01916. Epub 2020 Jan 24.

日本の自治医科大学の血液内科からの報告

D-indexは好中球数500!μLの水平線と実際の好中球数の推移の曲線とによって囲まれた面積

f:id:n0buyouki:20200424223057p:plain経験的な抗真菌薬は持続的な発熱性好中球減少症で推奨されているが、ほとんどの患者では過剰な治療になっている。D-indexは好中球500/μl未満の曲線の推移と水平線で囲まれた面積で計算され、好中球減少の程度と期間を反映し、費用をかけずに個々の患者の侵襲的真菌感染症のリスクをリアルタイムに評価できる。持続的な発熱性好中球減少症に対して、D-indexが5500以上になるか血清学的や画像上真菌感染症が確認されるまで抗真菌薬治療は行わないという、D-indexガイド下の抗真菌薬治療(DET)を開発した。多施設のopen-labelのRCTとして経験的な治療(EAT)と比較した。

423例の化学療法か血液悪性腫瘍に対して血液幹細胞移植を行う患者をDET群とEAT群にランダムに割り付けた。ポリエン系、エキノキャンディン系、ボリコナゾール以外の予防的な抗真菌薬の投与は許容された。EATまたはDETとしてミカファンギン150mg/日が投与された。

415例がITT解析され、probable/provenな真菌感染症はEAT群で2.5%、DET群で0.5%で、DET群の事前に設定した非劣性マージンを満たした(-2.0%; 90% CI, -4.0% to 0.1%)。42日後の生存率は98.0% vs 98.6%、84日後の生存率は96.4% vs 96.2%だった。ミカファンギンの使用はDET群で有意に減少した (60.2% v 32.5%; P < .001)。

DETという新しい戦略によって、侵襲的真菌感染症を増やさずに抗真菌薬のコストを減少させ、経験的な治療や先制的な治療の代替として合理的かもしれない。

 

不必要な抗真菌薬を安全に50%ほど減らすことができるというのはインパクトが大きいです

肺癌のFNで抗真菌薬を使うことはほぼありませんが、参考になります