息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

NSCLCでICIの治療とILDの関連

Assessment of Immune-Related Interstitial Lung Disease in Non-Small Cell Lung Cancer Patients Treated with Immune Checkpoint Inhibitors: A Multi-Center Prospective Study.

2020 Apr 11. pii: S1556-0864(20)30297-5. doi: 10.1016/j.jtho.2020.04.002. [Epub ahead of print]
 
浜松医科大学からの報告
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はNSCLCで生存を延長することが示された。様々な癌腫にICIの使用が拡大し、免疫関連有害事象(ir-AE)は典型的にICIと関連することが認識され、これらの患者をモニターし管理することが必要になってきた。これらのir-AEの中で免疫関連の間質性肺疾患(ir-ILD)は重大な合併症であり、治療の中断となり、ときに致死的になる。しかし、臨床的にir-ILDの発生率と関連するリスクファクターについての予測をした研究はない。
ICIで治療をしたNSCLCのコホート研究である。検査所見、呼吸機能検査、mMRCによる日常の呼吸困難感を含む背景の患者情報と抗腫瘍効果を調べた。
138例のNSCLC患者がICIの治療を受け、20例(14.5%)は中央値51.5日(四分区間29-147)でir-ILDを発症した。これは臨床試験の約3倍の頻度である。11例(55.0%)、その中で8例はGrade3以上の重症をすべて含み、60日以内にir-ILDを発症した。呼吸機能の異常、%FVCの低下、%FEV1の低下、mMRCの呼吸困難感はir-ILD発症のリスクファクターだった。さらに%FVCの低下、%FEV1の低下を組み合わせるとir-ILD発症のリスクと分類可能だった。
ir-ILDの発症率は実質的には実臨床で頻度が高い。ICI投与前の呼吸機能検査や呼吸困難感の評価はNSCLCのフォローアップと管理で有用かもしれない。
 
ILDの頻度が高いのは臨床研究では対象にならない患者も治療するからなのか、日本人でILDが多いためなのでしょうか
ケモ前にスパイロやKL-6、可能なら6分間歩行などを評価しておくと後々役に立ちそうです