息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19の心血管疾患の治療薬と予後

Cardiovascular Disease, Drug Therapy, and Mortality in Covid-19.

2020 May 1. doi: 10.1056/NEJMoa2007621. [Epub ahead of print]

 

COVID-19は心血管疾患のある人を不均一に影響した。臨床的な文脈ではACE阻害薬やARB潜在的に有害かもしれないと懸念されてきた。

北米、欧州、アジアの169の病院の観察研究のデータベースを使用して、2019年12月20日から2020年3月15日までに入院したCOVID-19の患者で、2020年3月28日時点で手術結果共同登録に記録された死亡か退院が記録されたもので、心血管疾患や薬物治療と入院中の死亡の関係を調べた。

分析時点でCOVID-19で退院した8910例が利用可能で、515例(5.8%)が死亡し、8395例は生存退院した。入院中の死亡リスクの上昇と関連した独立した因子は65歳以上(死亡率10.0%, vs. 4.9%、オッズ比1.93; 95%CI 1.60 to 2.41)、冠動脈疾患(10.2%, vs. 5.2%、オッズ比2.70; 95% CI, 2.08 to 3.51)、心不全(15.3%, vs. 5.6%、オッズ比2.48; 95% CI, 1.62 to 3.79)、不整脈(11.5%, vs. 5.6%、オッズ比1.95; 95% CI, 1.33 to 2.86)、COPD(14.2%, vs. 5.6%、オッズ比2.96; 95% CI, 2.00 to 4.40)、現在の喫煙(9.4%, vs. 5.6%、1.79; 95% CI, 1.29 to 2.47)だった。ACE阻害薬(2.1% vs. 6.1%、オッズ比0.33; 95% CI, 0.20 to 0.54)、ARB(6.8% vs. 5.7%、1.23; 95% CI, 0.87 to 1.74)は入院中の死亡率上昇と関連しなかった。

この研究ではこれまでの観察研究で示唆された心血管疾患はCOVID-19の入院中の死亡率上昇と関連することを確かめた。臨床的な文脈ではACE阻害薬やARB潜在的に有害かもしれないとの懸念は示されなかった。

 

ガイドラインのACE阻害薬やARBの継続を確かめた結果になりました