息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

COVID-19パンデミックにおける肺癌のスクリーニングと結節のフォローアップ

Management of Lung Nodules and Lung Cancer Screening During the COVID-19 Pandemic: CHEST Expert Panel Report.

2020 Apr 22. pii: S0012-3692(20)30758-3. doi: 10.1016/j.chest.2020.04.020. [Epub ahead of print]

 

米国の専門家(呼吸器内科17人、胸部放射線科5人、胸部外科2人)によるエキスパートコンセンサス

Lung-RADSは以下の表を参考

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12のシナリオを用意

COVID-19がパンデミックの場合

①肺癌のスクリーニングは非緊急であれば延期

②肺癌の毎年のCTスクリーニングの検診は非緊急であれば延期

③8mm以下の偶発的な結節影は3-6ヶ月フォローアップCTを延期するのは妥当

④Lung-RADS category3(8mm未満の結節など)は3-6ヶ月フォローアップCTを延期するのは妥当

⑤偶発的に発見されたGGNは3-6ヶ月フォローアップCTを延期するのは妥当

⑥偶発的に発見されたpart solid GGNでsolidの部分が6-8mmの結節(Lung-RADS 4A)は3-6ヶ月フォローアップCTを延期するのは妥当

⑦偶発的に発見された8mm以上の結節(Lung-RADS 4、肺癌の確率は10%未満)は3-6ヶ月フォローアップCTを延期するのは妥当

⑧偶発的に発見された8mm以上の結節(Lung-RADS 4、肺癌の確率は10%-25%)は3-6ヶ月後にCTのフォローアップをするのは妥当

⑨偶発的に発見されたpart solid GGNでsolidの部分が8mm以上の結節(Lung-RADS 4B)は3-6ヶ月後にCTのフォローアップをするのは妥当

⑩偶発的に発見された8mm以上の結節(Lung-RADS 4、肺癌の確率は65%-85%)は、CDCのガイドラインで正当な理由があり手術を延期する場合はPET-CTや生検で治療が必要か確認するのは妥当

⑪偶発的に発見された8mm以上の結節(Lung-RADS 4、肺癌の確率は85%以上)は、COVID-19がパンデミックの場合、医療従事者の曝露を最小限にするため診断的検査を避けて経験的に手術や放射線治療などを行うことは受け入れられる

⑫Stage Ⅰと新たに診断されたNSCLCの患者は、CDCガイドラインで正当な理由があり、癌のサイズや増大速度やPETでのFDG取り込み、患者の価値観や全身状態を考慮して手術を延期するのは受け入れられる

 

この論文でも強調されていましたが、COVID-19の流行状況、医療資源のリソース、患者の状態などに応じて柔軟に対応するしかなさそうです

すでにCTのフォローアップは延期することが多く、施設によっては手術などは論文以上に影響を受けている印象です