息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

低線量CTによる肺癌スクリーニング

Reduced Lung-Cancer Mortality with Volume CT Screening in a Randomized Trial.

N Engl J Med. 2020 Feb 6;382(6):503-513.

 

男性の以前の喫煙者や現喫煙者で低線量CTのスクリーニングによって肺癌の死亡率を下げられるかどうかは、データが限られている。

13195例の男性(一次的な解析対象)と2594例の女性(サブグループ解析)で50歳から74歳をランダムにCTスクリーニングを行う群(ベースライン、1年後、3年後、5.5年後)と行わない群に割り付けた。オランダとベルギーのレジストリーから癌の診断の日時と死因を得て、可能な時は死因が肺癌によるものかレビューした。すべての参加者は2015年12月31日まで少なくとも10年フォローアップした。

男性ではCTスクリーニングの遵守率は90.0%だった。平均して9.2%は少なくとも1回の追加のCTを撮影した(最初は不定期)。検査が必要な疑わしい結節は2.1%で見つかった。10年のフォローアップで肺癌の発生率はスクリーニング群で5.58例/1000人年、スクリーニングを行わないと4.91例/1000人年だった。肺癌の死亡率はスクリーニング群で2.50例/1000人年、コントロールで3.3例/1000人年だった。10年での累積の肺癌の死亡はスクリーニング群とコントロール群を比べると0.76 (95% CI 0.61 to 0.94; P = 0.01)だった。9年や8年でも同等の数値だった。女性では10年のフォローアップで0.67 (95% CI, 0.38 to 1.14)で、7-9年で0.41〜0.52だった。

この研究ではハイリスクの患者を対象とし、スクリーニングを行うと肺癌の死亡率が有意に低下した。肺癌を示唆する結果に対してフォローアップされる確率は低かった。