アジア人での悪性胸水の予後予測

Malignant pleural effusion survival prognostication in an Asian population.

Respirology. 2020 May 11. doi: 10.1111/resp.13837. [Epub ahead of print]

LENTスコアやPROMISEスコアは悪性胸水の予後を予測する。予後予測は介入や管理の指針になる。しかし、これらの指標や改善した指標（modified-LENT）はアジア人での有用性は不明である。LENTスコア、modified-LENT、PROMISEスコアの予後予測性能を評価し、正確性に欠ける場合は新たなスコアを開発することを目的とした。

LENT score

PROMISE score

化学療法の有無、放射線療法の有無、Hb、WBC、CRP、PS、癌種、（TIMP1）で計算

2011年から2018年までの悪性胸水の胸腔鏡のアジア人の患者の医療記録を後方視的に解析した。スコアの予後予測の性能はc-statisiticを用いて評価した。患者層、臨床的特徴の予後因子を分析し、ロジスティク回帰を用いて新しいモデルを作成した。

130例で、modifiied-LENTのc-statisticsはLENTスコアと大きく変わらなかった(0.59 (95% CI: 0.52-0.67) vs 0.56 (95% CI: 0.49-0.63); P = 0.403)。PROMISEスコアのc-statisticsは0.72 (95% CI: 0.53-0.91)だった。新しいモデル（SELECT）として性別、ECOG PS、白血球数、EGFR遺伝子変異、化学療法と癌腫から作成すると、n=147で90日の死亡率のc-statisticsは0.87 (95% CI: 0.79-0.95)だった。SELECTの10%をカットオフとした90日死亡率の感度0.91、特異度0.68、陽性尤度比2.83、陰性尤度比0.13だった。

LETスコア、modified LENT、PROMISEスコアはアジア人の胸腔鏡を受けた悪性胸水の患者の予後因子の性能は低かった。SELECTのモデルは90日後の死亡率の予測が優れていた。

LENTスコアの問題点としてdriver mutationが含まれていない点があります

今回のスコアは改良されていますが、今後はALKなども含める必要がありそうです