息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

SARS-CoV-2抗体のメタアナリシス

Point-of-Care Diagnostic Tests for Detecting SARS-CoV-2 Antibodies: A Systematic Review and Meta-Analysis of Real-World Data.

J Clin Med. 2020 May 18;9(5). pii: jcm9051515. doi: 10.3390/jcm9051515.

 

SARS-CoV-2はCOVID-19で知られる感染力の高い感染症の原因となる。SARS-CoV-2は2019年12月に発見され、以降は全世界でパンデミックになっている。タイムリーで正確なCOVID-19の検査はアウトブレイクの管理に重要なステップだ。これまで、COVID-19の診断のゴールドスタンダードは呼吸器検体のRT-PCRに基づいて行われた。残念ながら、RT-PCRは臨床上いくつかの制限がある。したがって、検査機関や医療機関の負担を軽減し、大規模なスクリーニングを可能にしタイムリーな治療を提供するために代替の検査方法が直ちに必要とされている。これまでにCOVID-19の迅速検査に対する研究はほとんどなく、結果は様々だ。そのため、COVID-19のアウトブレイクの管理の迅速検査の有用性を探索するためメタアナリシスと現在のシステマティックレビューを行った。10の研究に基づき、統合した感度は64.8% (95%CI 54.5-74.0)、特異度は98.0% (95%CI 95.8-99.0)だったが、異質性やリポーティングバイアスが高かった。(1)COVID-19に対する迅速検査は必要だが、適切な感度と特異度が必要である、(2)現在までにほとんど研究がない、(3)解析した研究は症例数が少なくパワーが弱い、(4)これらの結果に焦点を当てると臨床的な目的に使用するのは疑問があり、RT-PCRのような信頼できる分子生物学的な検査の代用とはならない、と結論できる。

 

大規模な研究が待たれます