息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

胸水中のSARS-CoV-2のRT-PCRが陽性となった1例

First Detection of SARS-CoV-2 by Real-Time Reverse-Transcriptase-Polymerase-Chain-Reaction (RT-PCR) Assay in Pleural Fluid
Chest. 2020 Jun 11;S0012-3692(20)31660-3.

 

COVID-19はSARS-CoV-2による世界中でパンデミックとなった感染症で、無症候性からARDSまで幅広い重症度になる。診断のゴールドスタンダードは鼻咽頭スワブによるRT-PCRだが、感度による限界から胸部画像は診断に重要で補完的な役割があり、胸水のような非典型的な所見や他の検体採取の部位を明らかにすることができる。一般的では胸膜の所見は少数の患者で報告されている。超音波ガイドによる胸腔穿刺でSARS-CoV-2のRT-PCRが陽性となった初めての症例を報告し、臨床的な特徴を記述する。胸水はCOVID-19で一般的な症状ではないが、胸水にも局在することを知っていることで診断に最大限利用でき、これらの患者の管理を改善することができる。

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COVID-19で胸水を認めるのは5%程度とされています

初診時にCRPが30と非常に高いため細菌性胸膜炎の可能性もありそうですが、培養は陰性だったとのことです

SARS-CoV-2によるウイルス性胸膜炎を起こし得るとのことで、興味深い報告でした