COVID-19に対するRemdesivirのCompassionate use
Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19
DOI: 10.1056/NEJMoa2007016
RemdesivirはウイルスRNAポリメラーゼを阻害するヌクレオチドアナログのプロドラッグでSARS-CoV-2に対してin vitroで活性があることが示されている
COVID-19で入院した患者に対してRemdesivirをcompassinate useした(未承認を人道的に使用)。患者はSARS-CoV-2が確認され、室内気または酸素投与下でSpO2が94%以下が対象。患者はRemdesivir 200mgを初日、残り9日は100mgを経静脈的に投与された。2020年1月25日から2020年3月7日までで、少なくとも投与後1日以上ある臨床データをまためた。
61例が少なくとも1回以上Remdesivirを投与され、8例は解析できなかった(7例は治療後のデータがない、1例は投与量のミス)。53例が解析され、22例は米国、22例は欧州かカナダ、9例は日本だった。ベースラインで30例(57%)は人工呼吸器管理で、4例(8%)はECMOだった。中央値18日間のフォローアップで、36例(68%)は酸素サポートのクラスが改善(室内気、低流量酸素、NHFC、NPPV、人工呼吸器、ECMOが他のサポートに変更すること)し、人工呼吸器管理の30例中17例(57%)は抜管できた。25例(47%)は退院し、7例(13%)は死亡した。死亡率は人工呼吸器管理で18%(6/34)、人工呼吸器を使わない場合で5%(1/19)だった。
重症のCOVID-19で入院患者に対するコホート研究ではRemdesivirのcompassionate useでは68%(36/53)で臨床的改善を認めた。実際の奏効率はプラセボを用いたランダム化比較試験が必要である。
患者の年齢の中央値は64歳、併存症は高血圧や糖尿病がそれぞれお25%程度
安全性に関しては23%で肝障害、重大な副作用は23%(AKI、多臓器不全など)
SARS-CoV-2に対する主要な薬剤のドッキング解析ではin vitroでの効果はRemdesivirが最も高かったとのことです
Yu-Chuan Chang, et al.
Potential therapeutic agents for COVID-19 based on the analysis of protease and RNA polymerase docking.
Preprints, doi:10.20944/preprints202002.0242.v1
カレトラ®のRCT(死亡率22%)と比べると、死亡率が12%と低く68%で改善したとのことで効果に期待が持てそうです
COVID-19の重症例の死亡率の報告は大きく差があり、やはり効果を確かめるにはRCTが必要です