息づく内科医

関東地方の呼吸器内科医です。

サルコイドーシスの診断ガイドライン ATS

Diagnosis and Detection of Sarcoidosis

An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline

Am J Respir Crit Care Med. 2020 Apr 15;201(8):e26-e51. doi: 10.1164/rccm.202002-0251ST. (Evidence-based guideline)

 

リンパ節生検について

1. サルコイドーシスが強く疑われる所見がある場合(Lofgren症候群、Heerfordt症候群、びまん浸潤型皮膚病変(lupus pernio))はリンパ節生検しないことを提案する。

2. 無症候性の両側肺門部リンパ節腫大のある患者に対して、リンパ節生検を推奨も反対も行わない。

3. サルコイドーシスが疑われ、縦隔±肺門部リンパ節腫大があり生検が必要な場合は、最初の生検方法として縦隔鏡よりもEBUS-TBNAを提案する。

 

肺外病変のスクリーニングに関して

1. 眼症状のないサルコイドーシスに対して、ベースラインの眼サルコイドーシスのスクリーニングのため眼検査を提案する。

2. 腎サルコイドーシスの症状や診断がついていないサルコイドーシスに対して、腎サルコイドーシスのスクリーニングとしてベースラインの血清Creの測定を提案する。

3. 肝サルコイドーシスの症状や診断がついていないサルコイドーシスに対して、肝サルコイドーシスのスクリーニングとしてベースラインの血清ALPの測定を提案する。

4. 肝サルコイドーシスの症状や診断がついていないサルコイドーシスに対して、肝サルコイドーシスのスクリーニングとしてベースラインの血清トランスアミナーゼの測定は推奨も反対もしない。

5. 無症候性や高Ca血症の症状のないサルコイドーシスに対して、Ca代謝異常のスクリーニングとしてベースラインの血清Caの測定を提案する。

6. ビタミンDの代替が必要など、ビタミンD代謝の測定が必要な場合、ビタミンD代替治療の前に25-OH-ビタミンD、1,25-OH-ビタミンDの測定を提案する。

7. 血液学的異常のスクリーニングのため、サルコイドーシスの患者に対しベースラインのCBCの測定を提案する。

8. 心臓外のサルコイドーシスで心臓の症状や兆候がない場合、心疾患の関与として経胸壁心エコーやHolter心電図をルーチンのベースラインの測定として提案しない。

 

肺外病変が疑われる場合の診断に関して

1. 心臓外のサルコイドーシスで心サルコイドーシスが疑われる場合、診断情報や予後の情報を得られるため、PETや経胸壁心エコーよりも心臓MRIを提案する。

2. 心臓外のサルコイドーシスで心サルコイドーシスが疑われる場合でMRIが使用できない場合、診断情報や予後の情報を得られるため、経胸壁心エコーよりもPETを提案する。

3. サルコイドーシスで肺高血圧が疑われる場合、まず経胸壁心エコーを提案する。

4. サルコイドーシスで肺高血圧が疑われ経胸壁心エコーでも肺高血圧が疑われる場合、肺高血圧の診断や除外のため右心カテーテルを提案する。

5. サルコイドーシスで肺高血圧が疑われ経胸壁心エコーでも肺高血圧が疑われない場合、右心カテーテルはケースバイケースで必要性を判断する。

 

心臓MRIがPETより有用なようです